Nov 29, 2006

はじめてのとーだいじゅけん ( 3 )

以下が俺のセンター試験記である.

なんか最近小説ばっか書いてたせいか,いつものネタっぽさが出せず,
しょうがないからもう小説として書き出したwwwww

おかげで無意味に文章量があって,
一度にポストしてしまうのはもったいないので,何回かに分けるお.

文体がアレだけど全部事実だし主人公は俺なので,
そのつもりで読んでくれおwwwwwww

 

 

 

1.

 その日はあっという間に訪れた. センター試験前日. 前日は1時頃まで勉強していたために起き抜けの気分は最悪で,顔を洗って母がいつものように出してくれたミルクティを飲んでも,まだ目蓋が重いままだった.

 何が悪いかといえば倫理. 最後の最後の最後になるまで完成しなかった科目の名前である. 元々社会は苦手だった. 理系を選んだ理由にしたって「社会が二次科目にないから」で,そんな俺にとってセンター社会はまさにセンターにおける最難関だった. まず何に迷ったかといえば,現代社会と倫理どちらにするかという件. 迷った結果,一般常識が問われる可能性が比較的低い倫理の方を選択したのだが,勉強を始めてみると倫理という科目は俺によく合った. 合ったのだが,それは主に雑学としての哲学に興味を持ったというだけのことで,暗記科目に過ぎないセンター倫理で点数が取れるかどうかということとは別問題であった. どうでもいいことは覚えていて,大事な部分は押さえてあるつもりなのに気づくと抜けている. これだから暗記科目は嫌いなのだ. 結局センター前々日になっても点数が満点に収束することはおろか,9割さえ安定しないという大惨事で,ただでさえ長く寝ないと保たない俺だというのに深夜1時就寝,結果としてこの朝である.

 ミルクティをおかわりする. すっかり慣れた朝の光景に身を委ねてリラックス. だが明日明後日の朝はこうはいかないのだ. というのもセンター試験会場の町までもう今日出発するからで,明日の朝はホテルで迎え,俺はミルクティを飲む暇もなく,緊張しつつセンター試験会場へ向かうはずだからだ.

 カップを置いて時計をみれば,そろそろ家を出て良い時間である. ゆっくりとミルクティを楽しんでいる程の余裕はない. やれやれ,最後まで朝に弱いのは直らなかったな,などと思いつつ一気にミルクティを飲み干して立ち上がった.

 パジャマを脱いで制服に着替える. 冬服のブレザーに袖を通すと,眠気が飛ぶと同時に一気に現実感が湧いてきた.

 「明日,本番なんだ……」

 今までは,それほど緊張してこなかった. 模試でも良い点数は出ていたし,致命的な不安要素もないつもりだったから. それでも,3年間意識し続けてきた日がいよいよ明日に迫っているという事実は,ひたすらに緊張感をもたらした.

 刹那,大成功してガッツポーズしている自分とありえないミスを犯して顔を崩している自分を思った. どうなるのかは間違いなく明日明後日で決まるのだ.

 ブレザーのボタンを留め終わると俺はブルッと僅かに身震いし,それは冬の寒さのせいかもしれなかったが,俺は武者震いなのだと感じた. この制服を着てがむしゃらに努力してきた今までのことが無意識に浮かぶ. 努力の成果が夢でも幻でもなくちゃんと俺の中に今も在ることを確認するように,3年間を共にしくたくたになった制服の右袖を,そっとさすった.

 「じゃ行ってきます」と俺.

 「いってらっしゃい」と母.

 靴を履いて参考書類がぎっしりと詰まった鞄を持ち,ドアの前で振り返っての挨拶. 特別な日だからこそ,さりげなく,いつも通りに. 俺なりの縁起の担ぎ方だったのだが,母親の言葉は「いってらっしゃい」で終わらなかった.

 「がんばってね.」

 途端,腹から胸にどっと熱いものがこみ上げた. 歯を食いしばる. これが本番. 二度はない. 模試で点が取れても本番で取れなければ勉強した意味など微塵もない. 過程より結果. 点数を取るためだけに俺は努力してきた. だから点数を取ってくる. 当たり前の目標. 努力して勝利が得られない事ほど惨めなことはない. 失敗するわけにはいかない. 努力してきたんだから. なんてことはない. 確率1で勝てるはず. 勝って当然なはず. だから勝って帰ってくる.

 そんな一瞬の思考は俺らしくまとめられ修正されて,

 「楽勝だよ」

 という言葉になった.
 
 玄関を出て自転車に鞄を乗せて勢いよくこぎ出す. 学校まで25分. ぶっ飛ばして15分. 見慣れた道を駆けてゆく. 天気は曇りで,お世辞にも良い天気とはいえない. だがそれでも,山,川,海,雲さえ,皆俺を祝福し支えてくれていると感じた. それほどに決意は固く純真だった.

--

 学校に着くとクラスメイト達の雰囲気がおかしかった. 一応進学クラスだったし,センターが近づくにつれて緊張感は高まってきていたが,今日の雰囲気はそれとも違う. 統一された雰囲気というものがない. ある者はセンターを楽しみにさえしているという雰囲気で,ある者はいつも通りで,ある者は狂ったように参考書をめくっていて,ある者は友達に泣きすがるように自らの不甲斐なさを嘆いていた.

 要するに審判の時が訪れていた. もう明日が本番で,今日は授業などないしホテルに泊まるから家で勉強などもできない. だからこれ以上の成長はもはや気休め程度もない. 現時点での自分の実力でセンター試験に臨むのだ. 1ヶ月後にセンター試験,1週間後にセンター試験,などとは現実感も危機感も,そして無力感も段違いだということ. 予定や希望や妄想が排除されて,ありのまま現実に直面する. だから今みんなの雰囲気というのは,自分自身の仕上がりに対する満足度に他ならない.

 鞄を自分の席において友人に挨拶すると,俺は顔を洗いにいったん教室を出た.

 顔を洗いながらふと,俺はどうだろう,と思う. 楽しみな面もある. 今まで蓄え続けてきた実力やテクニックを惜しみなく全力投球できる点で,楽しみだ. いつも通りでもある. こうやってクラスメイトの雰囲気から一歩引いたところで,客観的に自分と向き合うなどまったくもっていつも通り. かといって焦りも無いわけではなくて,例えば倫理など結局完成していないから,今すぐにでも参考書をめくって昨日やった部分の確認やら何からやることはいくらでもある.……でも,今の自分を悲観してしまう気持ちは無かった.

 「じゃ,大丈夫だろ」

 呟いてキンキンに冷えた水を顔に叩きつけ,思考に無理矢理ピリオドを打って洗面所を後にした.

 クラスの雰囲気はそのままで,朝のHRが行われ,その後決断式となった.

 決断式. センター試験を受けに行く生徒らが体育館に集まり,校長先生を前に生徒代表が全力を尽くして来ることを宣言するだけの,形式的でなんら意味のない行事. よって生徒がまじめにやるはずもない……と思っていたのだが,そうでもないのだった.

 入場から宣言まで,しんとした緊張感が支配する. いつもはふざけている奴もどこか真剣な面持ちで先生の話を聞いている. そんな不思議な空間に身を置いていると自覚すると,自分も真剣な気持ちになってきた. 伝達手段なしに精神が共鳴することがあるとすれば,まさにそれを体感した瞬間だった.

 そんななか,高校の事を思った. 今まで文句ばかりで何ら感謝などしてこなかった,この高校. 中学時代に受験勉強に目覚めていたならもっと良い進学校に行きたかったと何度も嘆いた,この高校. カリキュラムに文句をたれ,無意味に思える宿題に腹を立て,一部無能な教師に喧嘩を売ったこの高校. それでも俺はこの高校で学んできたのだ. 自学もしたことは確かだが,そのやり方を学んだのもこの高校という場. すなわちこの俺をこの位置まで運んできたのは,良くも悪くもこの高校に他ならない.

 体育館に立ったまま拳を強く握りしめる. 握りしめた拳は熱い. そう,高校に感謝の気持ちを表すなら,俺に可能な手段はひとつ. 圧倒的な学力を示しきっちり東大に受かり,母校の教育がこの俺を生んだのだと証言する. 陳腐で俗っぽく卑小な価値観であることは自覚しているが,この価値観にすがろうと決意して3年間を過ごしてきたのだから,今更引くわけにはいかない. 全力を尽くすなど手ぬるい. 誓うべきは必勝だ. 勝たねば無意味・無価値. だから勝つ. 勝って母校にも花を持たせてやる.

 それが俺にとっての決断になった.

 目の前で宣言が終わり,閉式になる. 拳を開くも,じぃんとした暖かい感触はしばらく手に残ったままだった.

 

 

 

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コメント(4)

Re: はじめてのとーだいじゅけん ( 3 )

お前の文才に嫉妬www
W/Hが書く小説は読みやすくて好きですお。

From : じゃんく♂ @ 2006-11-29 21:08:03 編集

Re: はじめてのとーだいじゅけん ( 3 )

> じゃんく♂
お褒めの言葉をありがとう^^
しかし,読みやすいとか初めて言われたよwwwwww俺エロシーン以外はやる気ないからなwww

From : W/H @ 2006-11-29 22:41:54 編集

Re: はじめてのとーだいじゅけん ( 3 )

初めまして、楊(高2♀)です!なんとなく東大目指してます。W/Hさんのブログは東大ブログランクから見つけました。ケータイから見ることが多いのですが面白いです。東大を目指すことになった経緯とか気になるのでよかったら今度書いてくださいwでは、また更新楽しみにしていますね。

From : 楊 @ 2006-11-30 16:55:03 編集

Re: はじめてのとーだいじゅけん ( 3 )

何となく東大,ね.いいことだwwwww
携帯からも見れるのかwww最近の携帯はすごいなwww

俺の受験物語は,このセンターの一件のとは別に小説として書いているので,いつかお披露目できたらいいな.ま,気長にお待ちを(w

From : W/H @ 2006-11-30 22:20:17 編集

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